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高浜原発仮処分、関電の態度に裁判長激怒『作り直せ』国へ新基準突き返す [ニュース【国内】]

2012年3月に市民団体の有志262名による申立てにより始まった今回の裁判。関電側の再三の引き伸ばしを経て福井地裁が下したのは高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分。関電は、地裁への異議申し立ての準備に追われている。


差し止め訴訟の弁護団共同代表・河合弘之弁護士によると


「福井地裁は原子力規制委員会が提示する新基準を『ずさんで無効』と判断した。仮処分を覆すには、判決内容のひとつひとつに具体的に反論する必要があるが、かなり難しいだろう。」


と語った。勝因のひとつは、弁護団の万全な事前対策によるところが大きい。


河合弁護士らは、原発の問題点を裁判官に分かりやすく説明するために、原発に関するドキュメンタリー映画を作成。有識者のインタビューをまとめたその映画が「伊方原発」差し止め訴訟の松山地裁で法廷上映会も開かれるなど、全国の同様の裁判でこの映画が資料として提出されている。原告が持ち込んだ映画を上映するなど前代未聞だろう。


河合弁護士らはさらなる対策として、福井地裁に提訴した。福井地裁には昨年5月に大飯原発3、4号機の差し止め訴訟で運転停止を命じた樋口英明裁判長(62)がいる。樋口裁判長なら原発問題に精通しているため、裁判が有利に進むと判断した。


焦った関電は激しく抵抗。なりふり構まず放った最後の手段が最後には自らの首を締めた。


樋口裁判長が4月に名古屋家裁に異動することを知った関電は関電側は審理を担当する福井地裁の樋口英明裁判長ら3人の裁判官に対して忌避を申し立てた。裁判長が変われば判決も変わると踏んだのだろう。住民側弁護団は「長い原発訴訟の歴史で、電力会社による忌避は前代未聞。明らかな審理の引き延ばしだ」と関電の対応を批判した。

関電のこの行為に対し樋口裁判長は激怒。『異動するが、この訴訟だけは俺がやる』と職務代行の手続きを取り、仮処分の決定を下した。


忌避は、裁判官と当事者が内縁関係など裁判の公正を妨げる事情があるときに、当事者が裁判官の変更を求める手続き。申し立てから3日以内に理由書を提出する必要があり、裁判官は忌避申し立ての審理中は訴訟行為はできない。


 申し立ては別の裁判官が判断し、忌避が認められた場合は、別の裁判官が審理を担当する。一方、当該裁判官は、申し立ての目的が遅延行為だとみなした場合、自ら却下することができ、仮処分のように緊急性が必要と判断すれば訴訟を進めることができる。


先に述べたように樋口裁判長は、国が用意した原発の新規制基準を「緩すぎる」「ずさんだ」「安全性が確保されていない」としてバッサリと切った。


福井地裁の判決を受け、自民党の細田幹事長代行は「安全か安全じゃないかという判断は規制委員会の管轄するところではない」などと話している。


つまり規制委員会が行うのは住民の避難計画や安全性ではなく、原発自体の審査のみ、という姿勢だった。福島原発の事故で懸念されていたメルトダウンの対策も新基準にはなかった。原発には万が一のための「止める」「冷やす」「閉じ込める」対策が必要なのにも関わらずだ。


今回の新基準において「人」の安全性は度外視されていた。


今回の地裁の判決は国に『基準を作り直せ』と突き返しているに等しい。樋口裁判長の気概ある判決に賞賛が集まるとともに、国や関電のモラルを欠いた行動に対する冷たい視線は深まるばかりだ。
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